君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「では、16時にうかがいます」
クライアントの雑誌担当者のアポをとり、電話を置いた瞬間、堤チーフのデスクの電話が鳴った。
不在なので代理で受けようと、置いたばかりの受話器をもう一度取る。
「11営、6部大塚です」
大塚? と聞きなれた声が返ってきて、驚く。
新庄さんだ。
『堤は、社内か』
「そのようです。すぐに戻られると思いますが、何かお伝えしましょうか」
『いや、いい。あいつのほうから電話をもらってたんだ』
少し間があって、大丈夫か、と訊かれた。
「…はい。特に何も」
堤さんとのことだ。