君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
伝えたいことが、山ほどある。
だけど、何を言ったらいいんだろう。
あれは元彼で。
泊まったわけじゃなくて。
会うのは1年ぶりで。
…そんなの、新庄さんに言うようなこと?
「恵利」
いつの間にかうずくまっていた私の肩を、秀二が揺さぶった。
「恵利のそういうところ、ダメだ。後のことばかり考えて、まずやってみるってことをしない」
驚いて、顔を見る。
「言い訳でもなんでもして、聞いてもらうしかないだろ。どう思われようが、言いたいこと言うしか、ないだろ」
それしか、ないだろ。
ああ、そういえば。
秀二のこういうところ、好きだったなあ、と思い出す。
秀二、あなたは知らないだろうけど。
この恋は、私、かなり自分から動いたの。
考えられないでしょ。
だけど、これまでの間に、いろいろ使い果たしちゃったのかも。
怖くて、怖くて。
電話をする勇気も、出ない。