君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
言いたいことを言うようになったと思っていたけれど。
それは、新庄さんが絶対に聞いてくれるという、安心感があったからで。
いまさらながら、どれだけ彼に甘えていたのか、身に染みてわかる。
『俺、行くけど』
電話しろよ、絶対! と不思議に真剣な秀二にはげまされて。
それでもあれこれ考えて、だいぶ時間がたってから、気力を振り絞って電話をした。
コール音は、十数回くり返された後、留守電に切り替わり。
延々とかけ続ける勇気も、伝言を残す勇気も。
私には、残ってなかった。