【短】君から伝わる体温
そこに立っていたのは、明美の言う通り
、北見瞬人(しゅんと)くんだった。
サラサラの癖のない真っ黒な髪の毛に、
キリッとした眉。
切れ長の二重に、澄んだ瞳。きゅ、と固
く引き結んだ唇……。
体操服の上からでもわかるくらいに引き
締まった、理想的な身体。───何もか
もが私の好みにドンピシャだった。
「相変わらずカッコいいわね、北見」
「うん……」
すごく素敵。
すごくカッコいいのに、それを鼻にかけ
てないのがまたイイ!
「ただ、鉄火面なのがちょっとねー」
ふぅ、と息を吐きながらそう言った明美
。
そう。北見くんは、"氷の王子様"なんて
呼ばれるくらい、無表情。
イケメンだからモテるんだけど、表立っ
てアタックしていく女の子はあんまり居
ない。