Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「お前っ、大丈夫なのかよ?」

 ずっと聞きたかったとばかりに中学からの腐れ縁である飯田元気(いいだげんき)が話に入ってきて、また圭斗の不快感が増す。
 また離れたところでも話し声が止み、好機の眼差しが向けられていることに気付く。
 先ほど自分が聞き耳を立てていたように、今度は自分がそうされている。それも、一人ではなく、多数に。
 きっと、紗綾はこういうことに耐え続けてきたのだろう。

「大丈夫って何が?」

 問いかけるも、本当はわかっていた。
 自分ならば大丈夫だが、繊細な彼女には辛いだろうと心の中では思っている。

「だって……ねぇ?」
「う、うん……」
「だよなぁ? あのオカ研だもんなぁ……」

 元気も女子二人も顔を見合せる。
 はっきりと本当に言いたいことを言えよ、とさえ圭斗が思うほど、その空気は貼り付くようで気持ちが悪い。
 このまま、教室を出てしまおうかと思った時、空気の読めない男がやってきてしまった。
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