Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「心の中に溜め込むのは良くないこと。クロみたいになるわよ? 若いのに、ハゲも白髪も嫌でしょう?」

 それを言うのが嵐であったならば、十夜はすぐさま反論しただろう。自分にはハゲも白髪もないと。そして、あるとしたら、それは貴様のせいだと。
 だが、彼は何も言わなかった。言えるはずがないからだ。
 嵐と十夜は単なる顧問と生徒の関係でないが、それ以上の因縁めいたものが鈴子との間には存在する。

「……毒島さんは、答えを知っているんですよね?」

 強迫的な空気に負けて、紗綾は問う。
 最強の魔女ならば全てを知っているはずなのに、運命が見えているはずなのに、なぜ、それを自分に決めさせるのか。
 そもそも、責任と言われても困るのだ。
 圭斗とリアム、どちらも自称サイキックだが、今日一日、彼らが力を使う機会があったとして、何の力も持たない自分が能力者を選べるはずがない。
 あまりに理不尽なのだ。
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