Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「隣でうるさいのも、後ろでうるさいのも嫌じゃないっスか」

 圭斗は平然と笑う。どちらにしても、自分が耐えられないのだ。
 眠っていようと彼と後部座席に二人というのも嫌なものだ。

「気遣いは嬉しいんだけど、センセーは胃が痛いよ。この歳で胃薬とかのお世話にはなりたくないんだけど。どうしてくれるわけ?」

 嵐はもうリアムのことなどどうでもいいようだ。
 魔女への態度のことを言っているらしい。
 彼らにとっては大問題だろうが、圭斗にとっては何でもない。

「凡人には恐れるものがないっスからね」
「凡人ねぇ……」

 嵐の口ぶりは疑わしげで、含みを持っていた。
 圭斗がサイキックであることは嵐には言っていないし、今、この場で告白するつもりも更々ない。
 けれど、力を視ようとしていたのを圭斗は感じていた。だからと言って視させてやるつもりもない。
 何度確かめようとしたところで無駄だ。もしかしたら、意地なのかもしれない。
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