Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「結婚、迫られたり?」
「まあ、ね。重たい女もいるよ。この歳になるとそれも仕方ない感じだけどね」

 圭斗と嵐では十も歳が違う。
 だが、圭斗としては、十年後にこうはなりたくないと思うものだ。
 少なくとも、重たい女などと言いながら、懐に婚姻届を忍ばせて、教え子を狙っているような重たい男予備軍には。

「でも、魔女と関わる限り、絶対にまともな人生なんて送れないしさ。巻き込めないからね。仮に子供ができたとしたらその将来まで決められちゃうわけだし」
「部長もセンセーも大変っスね」

 圭斗は他人事だと笑う。
 彼らは家単位で縛られているように見える。

「正直離れられたら……って思うよ。でも、逃げても地の果てまで追っかけてくる。そういう呪縛なんだよ。末代まで祟られるみたいな」

 そうは言うものの、何も恩恵がないわけではないだろうと圭斗は思う。
 一方的に与えられるものであって、望んだものではないのかもしれないが。
 結局のところ、二人は魔女にとってなくてはならないツールでしかないのだろう。尚且つ増やしたがっている。
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