Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
 ふと、鈴子が圭斗をじっと見た。

「思い出したのよ。あなた、あたしの初恋の人に似ているんだわ」

 紗綾はなぜか妙にドキリとした。
 けれど、ちらりと見た圭斗はひどく不快そうな顔をしている。

「それ、精一杯考えたつもりっスか?口説き文句としては最低っスよ。誰も靡かない」

 吐き出す声は低く、その目付きは鋭いが、魔女には通用しない。
 どんな言葉も魔女を揺るがすことはできない。

「彼、今、どうしてるの?」

 彼女は何か確信を持って問いかけているようだった。
 圭斗ではない、けれど、圭斗に近しい誰かのことを。圭斗の先にその彼がいると知って。
 紗綾には到底入り込めない空気が目の前にある。

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