Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「知らないっスよ、そんな奴」
「そう? まあ、とぼけるなら、それもいいわ」

 圭斗は突き放すように言うが、魔女の赤い唇が意味ありげに弧を描く。

「でも、覚えておきなさい。あたしの下に来てしまった以上、あなたは逃げることなんてできないのよ」
「逃げないっスよ。そうする理由がないっスから」

 魔女は圭斗がサイキックであることを確信しているのだと紗綾は思う。
 嵐や十夜を欺けたからといって最強の魔女までも騙せるとは限らない。
 その上で何かを考えているのではないかと。

「まあ、せいぜい頑張りなさいよ。お姫様に選んでもらえるように」

 後味の悪さを残し、ひらひらと手を振って、魔女は去っていったのである。
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