Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「あれじゃないっスか? 紗綾先輩があんまりに気付かないんでショック受けたとか」

 それは些か無理があるのではないかと紗綾は思う。
 嵐と十夜の前でそんなごまかしが通用するとは思えない。

「来たことは認めるんだ?」
「一人だけ脅えてた奴いたんで。まあ、ちょっと何かが倒れたとか、変な音がしたとか、すぐ霊のせいにしちゃいけないと思うんスよね。先輩を見習うべきっスよ。全然動じないんスから」
「何かさ、月舘と善美ちゃんに口止めしてない?」

 善美は圭斗の眷属を見たようだが、約束通り黙っている。

「センセーが胡散臭いから話したくないだけじゃないっスかね」
「うわっ、ひどい! 教師いじめだよ! この不良め!」

 圭斗は容赦なく、嵐が嘆く。
 クッキーとして親しまれる彼のキャラはそういうものである。
 こういう姿を見た女子生徒達が『可哀想』と言うのだが、香澄は『全然、可哀想じゃない!』と言う。
 彼がある意味オカ研の黒幕であり、決して噂されるような被害者でないことを彼女は知っているからだ。
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