Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「話を聞くと言ったのは俺だ」

 珍しく十夜が口を挟む。
 リアムが来た時、彼は助けてくれず、むしろ喜んでいるようだった。

「で、でも、連れて来ちゃったのは私なんですよ?」

 本人がいる手前、紗綾は小声で言った。
 追いかけられて、部室に逃げ込もうとして今に至るわけであって、元凶は自分の体質だと紗綾は思っていた。

「まあ、黒羽の責任の取り方についても魔女から提案があるけど、俺が認めたくないから月舘が決めて」
「そ、そんなこと言われても……」

 普段の彼女の言動から察するに、どんな提案なのか聞きたくないが、決めろと言われても決められない。

「一日下僕にしても良いし、女装させて連れ回すも良し、日頃の鬱憤を晴らすチャンスだよ」

 そんなことをしたら、絶対に呪われてしまう。
 女装は見たい気もするが、後が怖い。
 紗綾は答えが出せなかった。
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