Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「とりあえず、入っても平気っスか?」

 善美を見れば、弱々しくも彼女が頷くのがわかった。

「あ、うん……」

 扉が開いて、圭斗が入ってくると善美は少し落ち着いたようだった。夕方に救われたからだろうか。
 安心するはずなのにどこかざわざわと紗綾の胸は騒ぐ。
 けれど、その意味がわからない。それでも、嫌だと思うのだ。

「足止めしてる間に、少し話そうか」

 空いてるところに圭斗は座り込む。そして、真剣な眼差しで善美を見た。
 やはり、終わっていなかったのか。
 紗綾が不安げに見れば、その視線に圭斗が気付く。

「そっちはわかってると思うけど、夕方のとは別。まあ、夕方のはこれが原因で引き付けられたんスけどね」

 簡単な説明ではあったが、圭斗が善美に何かあると思っていたことはわかる。
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