Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「俺、こういうの専門じゃないから、はっきり言うけど、お前についてるのは生霊ってやつ」
「いき、りょう……?」
「そう実体がある怨霊」

 圭斗は淡々としていたが、善美は戸惑っていた。
 紗綾も何も言えない。言うべきではないと思うのだ。
 口を開くには重すぎる話だった。

「心当たり、あると思うけど」

 その声はやけに大きく響く。残酷な言葉だった。
 それは、善美が誰かに恨まれているということなのだから。

「あたし……ちょっと怖い夢見てさ、寝惚けてて、それで……」
「こういうの、何か責めてるみたいで、俺も気分悪いんだけど、生憎カウンセラーじゃないから優しくは言わない」

 それが彼の精一杯の優しさなのかもしれないと紗綾は思う。
 少し不器用なところが十夜と重なる。
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