Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
魔窟に飛び入る異邦人はゴーストがお好き
廊下は走ってはいけない。そんなことはわかっている。
けれど、走らなければならなかった。どうすればいいのかわからないまま。
紗綾は息を切らせながら頭の中で次々に湧いてくる疑問を必死に振り払おうとした。
時には逃げることも必要だが、逃げてはいけない場面もある。今はそのどちらなのか。
香澄さえいれば、と思っても今は放課後、彼女はグラウンドを走り回っていることだろう。
こうなれば逃げ込む場所は一つしかない。
校内であって、校内でないような錯覚を覚えるような場所、魔窟とも言うべきオカ研の部室だ。
この学校において、その名前はタブーである。困った時はオカ研の名前を出せというのは前部長八千草光の談である。
しかし、今回は相手が悪かった。時にはオカ研の名前が全く通用しないこともある。
部室は隅にある。奥に行けば行くほど嫌なオーラが出ていると香澄は言う。
大抵の人間は近付きたがらず、興味本位で踏みこもうとする人間も何故か即座に引き返すと言う。
ここまでくれば安心と紗綾はようやく振り返った。そして、固まる。
体力もなければ、足も遅い自覚はある。
それほど引き離せるとは思っていなかったが、驚いたのは彼が決して走っていないということだ。歩きながら、けれど、確実に近付いてくる。
紗綾は追われていたのだ。わけもわからないまま。
そして、ここで止まるべきではなかったのだ。
けれど、走らなければならなかった。どうすればいいのかわからないまま。
紗綾は息を切らせながら頭の中で次々に湧いてくる疑問を必死に振り払おうとした。
時には逃げることも必要だが、逃げてはいけない場面もある。今はそのどちらなのか。
香澄さえいれば、と思っても今は放課後、彼女はグラウンドを走り回っていることだろう。
こうなれば逃げ込む場所は一つしかない。
校内であって、校内でないような錯覚を覚えるような場所、魔窟とも言うべきオカ研の部室だ。
この学校において、その名前はタブーである。困った時はオカ研の名前を出せというのは前部長八千草光の談である。
しかし、今回は相手が悪かった。時にはオカ研の名前が全く通用しないこともある。
部室は隅にある。奥に行けば行くほど嫌なオーラが出ていると香澄は言う。
大抵の人間は近付きたがらず、興味本位で踏みこもうとする人間も何故か即座に引き返すと言う。
ここまでくれば安心と紗綾はようやく振り返った。そして、固まる。
体力もなければ、足も遅い自覚はある。
それほど引き離せるとは思っていなかったが、驚いたのは彼が決して走っていないということだ。歩きながら、けれど、確実に近付いてくる。
紗綾は追われていたのだ。わけもわからないまま。
そして、ここで止まるべきではなかったのだ。