Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「あの、ボク、日本の文化とか伝統に触れたいです。そういうクラブ、ないですか? サドーとかショドーとか」

 言われて紗綾は動揺しかけた。
 書道部も茶道部もできれば聞きたくない名前だ。それどころか日本の文化というものがトラウマになってもいる。
 その理由を思い出せば、この純粋な少年に申し訳なくなる。

「えっと、なくなっちゃった、かな……? 将棋とか囲碁とか折り紙とかカルタとか同好会があったけど、合併して、結局消滅しちゃったみたいで……」
「ショーメツですか……残念です」

 確かにあったのだ。それこそ彼が望むような日本文化を愛する者達の集まりが。
 それぞれの部員がいなかったわけではない。関係者から見れば紗綾は廃部の理由に大きく関わっていることになる。
 つまりは、オカ研が悪いのだ。紗綾はもちろん、嵐や十夜も八千草もおそらく直接的には何もしていないのだが、オカ研の部室がある並びに名を連ねていた彼らは皆オカ研を恐れていた。
 呪いだ何だと言って寄り付かなくなり、そのままノイローゼ状態で自然消滅したということになっている。
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