Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「オカルト研究部の……クロバネジュウヤさん?」
ローマ字で読みが書かれているのだが、野島の母の目には入らなかったらしい。
「クロハトオヤです」
「黒羽オフィス公認サイキック?」
「信じられないかもしれませんが、本物の霊能者です。私は助手みたいなものです」
マイノリティーであること、それが十夜を苦しめている。わかっていても、否定されることが前提であるのは決して覆らない。
「そんなこと言われても……」
野島の母も困惑している様子だった。
「何も変わらなければ、今まで通りに思っていればいい」
十夜は言う。彼は信じられないならそれでいいと思うのだろう。彼は説得という苦手分野に労力を費やさない。
それが霊障であっても、そうでなくても、やってみなければ何も変わらない。
そして、たとえ、変わっても、無理に信じなくていいのだ。
自分にできることをする。十夜にとってはそれだけのことだろう。
「部屋は?」
「こっちです」
慌てて、野島が案内する。その後ろを十夜が黙ってついていき、紗綾も野島の母に一礼してから追った。
ローマ字で読みが書かれているのだが、野島の母の目には入らなかったらしい。
「クロハトオヤです」
「黒羽オフィス公認サイキック?」
「信じられないかもしれませんが、本物の霊能者です。私は助手みたいなものです」
マイノリティーであること、それが十夜を苦しめている。わかっていても、否定されることが前提であるのは決して覆らない。
「そんなこと言われても……」
野島の母も困惑している様子だった。
「何も変わらなければ、今まで通りに思っていればいい」
十夜は言う。彼は信じられないならそれでいいと思うのだろう。彼は説得という苦手分野に労力を費やさない。
それが霊障であっても、そうでなくても、やってみなければ何も変わらない。
そして、たとえ、変わっても、無理に信じなくていいのだ。
自分にできることをする。十夜にとってはそれだけのことだろう。
「部屋は?」
「こっちです」
慌てて、野島が案内する。その後ろを十夜が黙ってついていき、紗綾も野島の母に一礼してから追った。