Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「兄貴? 入るよ?」
ノックをして、野島は扉の向こうに声をかける。
返事はないが、野島はその扉を開ける。
室内はシャッターが下ろされ、電気もついておらず、暗い。
野島が電気をつけると、ベッドの上で丸まった物体が目に入る。野島の兄は頭から布団を被っているようだ。
「兄貴!!」
野島はズカズカと部屋に踏み込んで、シャッターを開け、光を室内に取り込む。
そして、容赦なく布団を引き剥がした。
何かシャカシャカと音が聞こえるのは野島が取り上げたヘッドホンだろうか。
音漏れするほど大音量で音楽を流し、何を遮断しようとしていたのか。
「やめろ! あいつが来るんだ! やめろぉぉぉっ!」
その様子は誰が見ても異常だと言えただろう。
幻覚が見えているのか。何も知らなければ、薬物の使用を疑っただろうか。
だが、十夜には確実に何かが見えているようだった。その眼差しが鋭さを増している。
「来る? 違うな、貴様の後ろにいるだろう」
十夜が淡々と告げる。野島の兄浩一はゆっくりと振り返り、後退った。
ノックをして、野島は扉の向こうに声をかける。
返事はないが、野島はその扉を開ける。
室内はシャッターが下ろされ、電気もついておらず、暗い。
野島が電気をつけると、ベッドの上で丸まった物体が目に入る。野島の兄は頭から布団を被っているようだ。
「兄貴!!」
野島はズカズカと部屋に踏み込んで、シャッターを開け、光を室内に取り込む。
そして、容赦なく布団を引き剥がした。
何かシャカシャカと音が聞こえるのは野島が取り上げたヘッドホンだろうか。
音漏れするほど大音量で音楽を流し、何を遮断しようとしていたのか。
「やめろ! あいつが来るんだ! やめろぉぉぉっ!」
その様子は誰が見ても異常だと言えただろう。
幻覚が見えているのか。何も知らなければ、薬物の使用を疑っただろうか。
だが、十夜には確実に何かが見えているようだった。その眼差しが鋭さを増している。
「来る? 違うな、貴様の後ろにいるだろう」
十夜が淡々と告げる。野島の兄浩一はゆっくりと振り返り、後退った。