Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「長い黒髪の女だ。白い服を着ている」
「そいつが俺を殺そうとしてんだよ!!」

 十夜と野島の兄は同じものを見ているようだった。ただどう見えているかが違うと紗綾は思う。
 違う。きっと違うのだ。紗綾は根拠もなく思う。

「違う、貴様に助けを求めているんだ」

 紗綾の心の声と十夜の言葉が重なる。

「嘘だっ! 俺を殺そうとして……! 助けてくれ! 助けてくれよ!!」

 それは彼の恐怖が見せているのではないかと紗綾は思う。
 霊が彼を死へ導こうとしているのなら、十夜はこれほど落ち着いてはいないだろう。
 その時、電話が繋がった。
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