Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「貴様の姿が見える男のところへ行け」
それはこの場にいる人間には向けられていなかった。黒髪で白い服を着ているという女の霊への言葉だったのだろう。
彼は言葉が足りないところがあるが、紗綾は過去一年の経験から推測していた。女は自分の死体を見付けてほしくて、近くに遊びにきた彼に取り憑いたのではないかと。
だとすれば、あとは将仁の仕事だ。
女の霊がいなくなったのか、野島の兄は落ち着いたようにも見えた。
「えっと……月舘、解説してくれると助かるんだけど」
何が何だかわからない、と野島は紗綾を見るが、紗綾にもはっきりしたことはわからない。
「もう大丈夫……、ですよね?」
十夜を見る。彼は答えない。
「帰るぞ」
その一言で背を向けられてしまった。
「待って下さい!」
紗綾は慌てて、鞄から手紙を取り出して野島に渡すと、十夜の後を追った。
それはこの場にいる人間には向けられていなかった。黒髪で白い服を着ているという女の霊への言葉だったのだろう。
彼は言葉が足りないところがあるが、紗綾は過去一年の経験から推測していた。女は自分の死体を見付けてほしくて、近くに遊びにきた彼に取り憑いたのではないかと。
だとすれば、あとは将仁の仕事だ。
女の霊がいなくなったのか、野島の兄は落ち着いたようにも見えた。
「えっと……月舘、解説してくれると助かるんだけど」
何が何だかわからない、と野島は紗綾を見るが、紗綾にもはっきりしたことはわからない。
「もう大丈夫……、ですよね?」
十夜を見る。彼は答えない。
「帰るぞ」
その一言で背を向けられてしまった。
「待って下さい!」
紗綾は慌てて、鞄から手紙を取り出して野島に渡すと、十夜の後を追った。