Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「何か面白いクラブ、ないですか?」
「アニ研……アニメーション研究同好会とかどうかな? アニメとか漫画とか」

 面白いクラブと言われて思い付くのは奇人変人が多い陸上部だが、おそらくそういうことじゃないと紗綾は思った。
 だからこそ、同じく奇人変人が多いが、まだ彼が興味を持ってくれそうなものを選んだつもりだった。
 すると、彼はパッと表情を明るくした。

「アニメ、マンガ好きです! 日本はクールです!」

 やっぱり、海外でも人気なんだなぁと紗綾はのんびり考えていたが、問題はここからだった。

「どこ行けばいいですか?」
「大体、コンピューター室にいるよ」
「コンピューター室?」
「案内しようか?」

 相手は新入生でまだ教室の場所を把握してはいない。自分が勧めた以上、放っておくことは紗綾にはできなかった。
 だから、そう言ったのも当然のことだったのだが、彼はぴたりと動きを止めて紗綾を見た。
 これに困ったのは紗綾である。変なことを言ったか、それとも通じなかったのか。
 彼がどこまで日本語が大丈夫なのかわからない上に、紗綾は全く英語に自信がない。
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