Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
 放課後、部室に向かうと既に嵐もいた。
 いつも通りコーヒーを飲む彼の隣にはぐったりした圭斗の姿があった。まるで、いつかの十夜だ。

「圭斗君、大丈夫……?」

 いつも元気なのに具合でも悪いのか。
 差し入れらしいマドレーヌを手にしたまま食べる気力すらないようだった。

「紗綾先輩に癒されたいっス」

 圭斗が言った瞬間、嵐が口を挟んだ。

「昨日は癒し系美人と一緒だったでしょ?」
「……確かに美人っスけど、あれは反則……絶対、癒し系じゃないっス」
「久遠さん、ですよね?」
「そうそう、黒羽兄」

 嵐は笑っているが、十夜は嫌そうな顔をしている。彼は兄の話をされたくないのだ。
 黒羽久遠は男だが、見た目は美女とも言える。十夜は軽蔑こそしていないものの、遠ざけたがっている。
 外見の問題ではなく、サイキックとしてのことについて意見されたくないようだった。
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