Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「あ……ありがとうございます!」

 背中にかけられる声に、どういたしまして、と軽く振り返って彼は紗綾のところに戻ってきた。
 何事もなかったかのようにしているが、紗綾は見なかったことにはできない。
 彼はまさかサイキックなのだろうか。そんな思いがあった。
 だから、自分の行く先にいるなどと言うのか。

「昔から、少しばかり捜すのが得意なんです。物でも人でも」

 紗綾の心の中を察したように彼は微笑む。
 勘が良いというのは違うと紗綾は感じる。彼の捜し方は極めてサイキック的に思える。

「目当ての人物も見つけられないのに、滑稽だと思われてしまいそうですが……不思議なことに、彼だけはどうしても見付けることができないんですよ。でも、あなたは彼と繋がっている。そんな気がするんですよ」

 彼は肩を竦める。
 紗綾は彼に聞いてしまいたかったが、何と言えばいいのかわからなかった。
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