Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「サヤ、ケッコンをゼンテーにお付き合いしましょう!」
「そ、それは、いきなり言われても困るよ……」

 あまりに突然の求婚、からかわれているのかとすら紗綾は思ってしまう。ちゃんと意味はわかっているのだろうか、違う言葉と間違えているのではないか。
 紗綾にとって十六年生きてきてこんな経験は初めてであり、オカルト的な理由で無理矢理入部させられた時と同じくらい衝撃的かもしれなかった。

「じゃあ、これからお互いのことを知りましょう! 僕はあなたにフォーリンラブしました!」

 英語で言われてしまえば、本気なのかなと紗綾は思ってしまう。
 そして、香澄なら上手くあしらっただろうが、紗綾にはそんな芸当は不可能だった。

「あのね、止めた方がいい、かな? 多分、オカ研の月舘って言ったらみんな全力で反対すると思うから」
「オカケン?」

 このままだと大変なことになる。そう感じた紗綾はリアムが聞き慣れない単語に首を傾げた隙にその手から逃れた。
< 42 / 712 >

この作品をシェア

pagetop