Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「えっと、ごめんね? 私、部活行かないと怒られちゃうから、本当にごめんね!」

 自分がひどく悪いことをしているような気になりながらも、これ以上彼に関わるのは恐ろしかった。
 あまりに突然で、些か強引な彼も、遅れたことで引き起こる部の問題も。


 そうして、紗綾は逃亡を選んだのだが、させてもらえなかったというのが現状なのかもしれない。
 余計に状況が悪くなったように思うのは気のせいではないだろう。
 目の前には多くの生徒が少し近付いただけで怪しいと身の危険を感じ、遠ざかるオカ研の部室があるというのに彼は全く気にした様子がない。
 逃げ出したという後ろめたさがそうさせるのか、彼の天使のような笑みが今はひどく恐ろしく感じた。
 どこまで自分は運が悪いのか、何故、悉くタイミングが悪いに遭遇するのか。
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