Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「ずっと迷っていたんだ。伝えてしまえば今まで通りではいられなくなる。だから、卒業までずっとしまっておこうと思ってた。言い逃げなんて卑怯だと思うけど」

 将也は肩を竦める。

「でも、答えは今じゃなくていい。伝えにくければ、田端君に頼んでもいい。忘れても構わない」

 何て彼は優しいのだろう。それは胸が苦しくなるほどだ。

「君を混乱させすぎたみたいだね」

 どこまでも彼は気遣ってくれる。けれど、それでは駄目なのだとどこかで感じている。

「これからも、俺に相談してくれると嬉しいな」

 将也もどこかで不安を感じているのか。それが少し表情に出ているようにも思えた。

「私は……ちゃんと前を向いてないから、だから、少し一人で頑張ってみようと思うんです」

 まだ彼らと向き合うことはできない。
 その前にしなければならない話がある。まずは順番に片付けなければならないだろう。
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