Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「いずれは自分のオフィスを持ちたいと思っているのですが、まだまだといったところでして」
「オフィス、ですか?」
「ええ、永遠子さんのようなオフィスを、と思っています」

 黒羽永遠子、十夜の母であり、黒羽オフィスの代表だ。
 自分の事務所を立ち上げ、今は長男の久遠と魔女がスタッフとして働いている。十夜や紗綾は臨時のアルバイトのような状態だ。

「海斗さんは、黒羽オフィスの人ではないんですか?」

 彼は関係者と言っていなかっただろうか。あるいは、独立したいのか。定義が紗綾にはよくわからなかった。

「厳密には違いますね。協力者です。昔のことですが」

 それは、オフィス代表黒羽永遠子にとってのことかはわからない。
 彼にとってはそうでしかなかったのかもしれないが、魔女には違ったのだ。
< 480 / 712 >

この作品をシェア

pagetop