Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「うちの馬鹿息子のせいで、ごめんなさいねぇ」
すぐに済むから、と笑った永遠子はいきなりそんな謝罪をした。
「でも、放っといていいわよぉ」
「え?」
怒られるのではないかと思っていた紗綾にとって予想外の言葉だった。
「そうそう、何か言ってあげる必要とかないから」
永遠子の隣では久遠が頷く。
「まったく、何であんな風になっちゃったのかしらねぇ?」
「父さんに似たんじゃない?」
久遠はクスクスと笑う。
この親子と会うのは初めてではないが、紗綾は十夜の父親のことはまだ姿すら見たことがないどころか、話にもほとんど出てこないのだ。
「あら、父さんはやる時はガツーンとやってくれる男よぉ?」
「まあ、毎年母さんの誕生日と結婚記念日に花束用意するしね」
「そうそう。あ、写真見る?」
「母さん!」
派手にデコレーションされたピンクの携帯電話を取り出す永遠子を久遠が窘めた。
そして、永遠子のとても久遠の母親には見えないような若々しく美しい顔が険しくなった。
すぐに済むから、と笑った永遠子はいきなりそんな謝罪をした。
「でも、放っといていいわよぉ」
「え?」
怒られるのではないかと思っていた紗綾にとって予想外の言葉だった。
「そうそう、何か言ってあげる必要とかないから」
永遠子の隣では久遠が頷く。
「まったく、何であんな風になっちゃったのかしらねぇ?」
「父さんに似たんじゃない?」
久遠はクスクスと笑う。
この親子と会うのは初めてではないが、紗綾は十夜の父親のことはまだ姿すら見たことがないどころか、話にもほとんど出てこないのだ。
「あら、父さんはやる時はガツーンとやってくれる男よぉ?」
「まあ、毎年母さんの誕生日と結婚記念日に花束用意するしね」
「そうそう。あ、写真見る?」
「母さん!」
派手にデコレーションされたピンクの携帯電話を取り出す永遠子を久遠が窘めた。
そして、永遠子のとても久遠の母親には見えないような若々しく美しい顔が険しくなった。