Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「何? あんた達、紗綾のこと騙したの?」

 香澄の表情が少しだけ険しくなる。
 まだ完全に溶け込んでいるわけではないからこそ、彼女はそうして過保護になるのだ。
 だからこそ、紗綾はそこに縋ってしまう。

「騙したっていうか……本当のこと言わなかったっていうか……」
「騙されたわけじゃないよ」

 責められているようなクラスメイトを咄嗟に紗綾が庇おうとすれば、香澄が大きく溜息を吐いた。

「でも、全員浴衣で自分だけ違うとは思わなかった。そうでしょ?」
「う、うん……」

 問い詰められれば頷くしかない。そう思ったのは事実だ。

< 533 / 712 >

この作品をシェア

pagetop