Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「あのね、香澄。王子喫茶に対抗できるのは月舘さんだけだと思うの」

 再度、今度は紗綾の保護者として香澄を説得しようというのだろう。

「王子喫茶ぁ?」

 香澄が変な顔をした。

「イケメン王子様がクレープを作ってくれるっていう……」

 もしかしたら、彼女達も行きたいのかもしれないと紗綾は思った。
 紗綾も全く興味がないわけではないが、一人で行こうという勇気はない。

「どこのクラスよ、イケメン売り物にして女子を食い物にしようとしてんのは?」

 香澄はイケメンという言葉をよく使い、反応もする。
 だが、彼女自身は興味があるわけでもない。

「香澄がよーく知ってる司馬先輩のクラスだよ」

 それを聞いて香澄が固まる。暫く沈黙が続いた。

「…………まったく、あの人は何やってんだか」

 盛大な溜息だった。
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