Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「私も近くまで行ったんですけど、人が多くて……昨日の内に行っておけば良かったですね」

 折角徘徊するのだからと、近くまで行ってみたのだが、どれほど卑怯なのか確認するのは断念せざるを得なかった。

「じゃあ、この後も近付かない方が平和かもね。俺もそんなに得意ってわけじゃないから大変で……」

 彼らのクラスには女性客が押し寄せている。紗綾も同性だからと言って、溶け込めるわけでもない。

「さあ、行こうか」

 これ以上面倒になる前に、と意味が含まれていただろうか。彼は早くこの場から離れたいようだった。


 その理由はすぐにわかることになる。
 ざわめく人混みをかき分けてやってきたのは、やはり王子様だった。
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