Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「こいつが我が儘なんだよ」
「予想以上の反響だからって、約束の自由時間を貰う権利を奪われるわけにはいかないんだ」

 ニコニコと将也は笑んでいる。
 しかし、言葉はまるで契約違反を責めるかのようだ。

「それは、仕方ないだろ? クラスに貢献しろよ」

 佐野は呆れ顔である。

「何でわざわざ終わりかけに回らなきゃいけないのかな。俺は一番楽しい時間に回りたいって言って、その条件でこんな格好してるのにさ」
「我が儘言うなよ、ナンバーワン王子」
「我が儘じゃない。高校生活最後の文化祭、その思い出作りに対する当然の執着だよ」
「前々から思ってたけど、お前って……いや、何でもない」

 佐野は言いかけて、結局言わなかった。

「秘密兵器だって、置いてったでしょ?」
「……あれは、ダメだ。お前がいないと誰も絡めない」
「置いておくだけで効果あるんだから、ほっとけばいいよ」

 一体、何の話だろうか。紗綾が首を傾げれば、将也がくるりと紗綾を見た。
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