Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「もしかして、その名前って……」
「私が付けました。大神の大さん。嫌がられていますけどね」

 納得できた気がした。圭斗が『ひでーセンス』だと言うのも、あの表情の理由も。

「子供じみた当て付けだったのかもしれませんね。いっそ、自分の物になればと思ったことすらあります――なんて、暗い話はよくありませんね」

 やはり、海斗は大人だと紗綾は思った。やはり、彼なりに文化祭を楽しみにきたのかもしれない。

「さあ、どこに……」

 次の行き先を決めようとしたはずだった。
 それなのに、海斗の表情は険しくなる。

「すみません」

 呟きの意味を理解する前に紗綾の手首は掴まれていた。
 一体、どうしたのだろう。
 そのまま引かれた気がしたが、すぐに止まった。
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