Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「あなた、海斗の何? 圭斗とも一緒にいなかった?」

 睨まれて、紗綾はどうしていいかわからなくなる。
 自分は何でもないと言いたい。それなのに、元々の人見知りと緊迫した空気のせいで言葉が出てこない。

「失礼なことはやめてください。彼女はいずれパートナーになる人です」

 仕事のパートナーにならないかとは言われたが、まだ答えは出していない。
 追い払うための嘘だろうか。それとも、彼はそうなると思っているのか。
 いずれにしても、彼女を傷付けるには効果があったのかもしれない。
 その目が揺らいだ気がした。今にも泣き出しそうに見えた。

「許さない! あんな終わり方なんて私は絶対に許さないから!」

 吐き捨てるようにして、彼は走り去っていく。

「申し訳ありませんでした」
「いえ、あの……」
「どこか行きたいところは?」

 何事もなかったかのように海斗は言う。
 そんな場合ではない気がした。きっと、彼女は今泣いている。彼の冷酷な仕打ちに悲しんでいる。それを放っておくべきなのだろうか。
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