Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「なんか、側にいなきゃいけない感じがしちゃうみたいで。でも、そうすると、自分が依存しちゃうって、負の連鎖的な? 難儀な奴っスよね」

 紗綾は重荷になりたくはないと思っている。けれど、本当に支えられるかはわからない。
 自信があるとは言い切れない。全てをわかりきることは、きっとできないだろう。

「それじゃあいけないと思ったのかもしれないっスね。だから、姿を消してみた」

 抜け出すために強硬手段をとる。それは極端だが、気持ちはわかる。
 紗綾がしたこともまた同じだったかもしれない。

「その時のあの人は本当にひどいもんだったっスよ。泣いて暴れたり、俺を海斗の代わりにしようとしたり。だから、俺もあいつの面影を探されるのが嫌で、わざと派手な格好して、遊び歩いたりして、自分の顔見る度に殴りたくなったりして……まあ、結構荒れたっスね」

 さらりと圭斗は言うが、内容は穏やかではない。
 彼は彼なりに乗り越えたのかもしれない。
< 641 / 712 >

この作品をシェア

pagetop