Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「み・さ・き……?」

 紗綾が声に出せば、『はい』のところまでコインが移動する。
 それから、また動き出す。

「な・ま・え……えっと、ミサキさん?」

 『はい』――『みさき』というのが彼女の名前なのだろうか。

「黒羽部長の眷属さん……ですよね?」

 恐る恐る問えば、また『はい』の位置でくるりと回る。
 今、自分は十夜の眷属と交信をしている。
 そう認識しても、紗綾にはわからないことがある。
 なぜ、交信しているのか。
 何か自分にメッセージがあるのだろうか。先ほどの音は彼女が呼んでいたのだろうか。
 声が聞こえるわけでもなく、ただ勝手に動くコインを追う。
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