Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「お・ね・が・い……お願いですか?」

 ――『はい』

「私に……?」

 ――『はい』

「私で良ければ」

 紗綾のお人好しは人間以外にも発動されるものだったようだ。
 相手が見えるわけでもないのに、安請け合いをしてしまう。

 ――『とおやくんにつたえて』

「黒羽部長に伝言ですか?」

 ――『はい』

「何を伝えればいいですか?」

 ――『あなたをゆるしてる』

「部長に許してる、ってことを伝えればいいんですね?」

 ――『もうだいじょうぶ』
 ――『わたしはいらない』

「そんな……」

 本当の意味はきっと十夜にしかわからないだろう。
 紗綾は彼と眷属の関係を知らない。

 ――『あなたはひとごろしじゃない』

 そのメッセージにハッと息を飲む。十夜が背負っているという罪、海斗も言っていたことだ。
 だが、紗綾は十夜が誰かを手に掛けたとは思っていなかった。
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