Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「ひどい男っスよね、マジで。俺の胸で泣きます? 部長なんて絶対にやめた方がいいっスよ?」
「何も知らずに待ちぼうけがどれだけ寂しいかわかってない! 女の敵! お父さんは反対だよ!」

 圭斗はニヤニヤ笑い、嵐は珍しくわけのわからないことを喚いている。
 だが、すぐに気を取り直したようだ。

「――で、月舘は何してたの?」
「あ、部室に入ったらこれが落ちてきて、今しまおうとしてたんです」

 十夜の眷属らしき美咲という霊と交信していたとは言えずに、紗綾はコインと交信シートを広げる。
 それも嘘というわけではない。本来はそのつもりだった。

「じゃあ、やっぱり、さっきのは黒羽十夜によるイリュージョンショーってことで」
「いや、イリュージョンは違くないっスか?」
「細かいこと気にするとダメダメだよ」

 圭斗の指摘を笑って流し、嵐はその表情を引き締めた。
 顧問の威厳と言うべきか、こういう時、彼は一瞬で空気を変えることができる。
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