Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「まあ、何があったか話すから、とりあえず座ってよ」

 促されて紗綾は交信セットを元に戻し、いつもの場所に座ろうとした。

「あ、ひどい部長の隣が嫌だったら俺の隣にどうぞ」

 圭斗が自分の隣を叩いて示せば、嵐が呆れた顔をする。

「随分、攻めるよね。でも、残念、そこは俺の席。榊こそ、あっち行ったら? 何なら、床に座布団でも俺は全然気にしないけどね」

 嵐はシッシッと右手を動かす。笑顔で恐ろしいことを言っている。
 以前、彼はその座布団の上にリアムを座らせていたことがある。席が足りないというのもあったのだが、あの時は誰がどう見ても犬の躾であった。

「い、一応、ここが定位置ですから……」
「今、思うと、八千草の天然が恐ろしいよ」

 嵐は自分の場所に座って小さく溜息を吐いた。その隣で圭斗が、確かに、と頷くが紗綾にはその意味がわからなかった。
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