Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「だから、脱線させないでってば!」
「一番悪魔的っスよねー。いつか、みんなの前でその皮ひっぺがしてやりたいと思うんスけど、いざという時に見捨てられると困るんで秘密は保持するっスよ」

 憤慨する嵐を圭斗は無視した。ニヤニヤと笑って挑発的だ。
 彼は嬉々として生徒達から悪魔と呼ばれる存在になろうとしているようだが、大事なことはわかっているようだ。
 魔王に利用される可愛そうなイケメン教師、というのが嵐の表だ。
 だが、紗綾は彼も間違いなく悪魔であると思っている。彼の策は本当に悪魔的であり、一度依頼人として関わった野島もみんなの前で言うことはないが、何かを悟ったようだった。

「大人をからかうんじゃない」

 嵐は険しい表情をするものの、圭斗は笑い続ける。

「大体、こういう時、話を進行するの部長の役目っスよね」

 圭斗の当て付けの矛先が今度は十夜に移行した。

「無駄無駄。俺たちがどんなにお膳立てしても十夜君は素知らぬ顔だよ。空気読めないっていうか、空気わかってない」

 嵐もここぞとばかりに十夜のことを言う。
 言い過ぎではないかと紗綾は思うが、口には出せなかった。
 すると、十夜が紗綾をじっと見る。
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