Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「でも、忘れなくていいと思います。ミサキさんも本当は自分がいたってこと忘れてほしくないと思います。でも、思い出す度に自分を傷付けるような覚え方はしてほしくないんだと思うんです」
かさぶたを剥がしてはまた血を流し、傷を広げていく。彼がしているのはそういうことだ。
「そうなのかもしれないな……いや、貴様が言うならそうだ」
自分はそんなに正しい人間ではないと言いたかったが、それよりも少し穏やかになった十夜の表情が嬉しかった。
「もう強がったりしなくていいんです。冷酷なフリをしなくてもいいんです。誰かを助けたいのに、我慢もしなくていいと思います。もう誰かの言いなりになって自分を偽ったりしないでください」
彼はいつも無理をしている。
時に限界を超えて保健室に行ったり、早退したりを繰り返している。
嵐や将也は心が弱いと言うが、人一倍繊細で傷付きやすいだけなのだ。そして、その脆い心を守るために自らが傷付けるという負荷をかけている。
だが、もうそれは必要ない。
かさぶたを剥がしてはまた血を流し、傷を広げていく。彼がしているのはそういうことだ。
「そうなのかもしれないな……いや、貴様が言うならそうだ」
自分はそんなに正しい人間ではないと言いたかったが、それよりも少し穏やかになった十夜の表情が嬉しかった。
「もう強がったりしなくていいんです。冷酷なフリをしなくてもいいんです。誰かを助けたいのに、我慢もしなくていいと思います。もう誰かの言いなりになって自分を偽ったりしないでください」
彼はいつも無理をしている。
時に限界を超えて保健室に行ったり、早退したりを繰り返している。
嵐や将也は心が弱いと言うが、人一倍繊細で傷付きやすいだけなのだ。そして、その脆い心を守るために自らが傷付けるという負荷をかけている。
だが、もうそれは必要ない。