Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「私はオカ研で少しでも誰かを救ってあげたいと思うんです。何もできない私が綺麗事を言っていると思われるかもしれませんけど、相談しやすい環境を作ってみたいんです」

 救うことは自分にはできない。それでも、話を聞くことはできる。何件かのケースには立ち会ってきたし、必要があればこれから勉強する。
 サイキックと相談者の引継役になりたい、今ならばはっきりわかる。

「望むなら、俺はいつでも力を貸すつもりだ」
「本当ですか!?」

 まさか、十夜からそんな言葉が聞けるとは思っていなかった。

「ああ、だから好きにしろ。あの一年も全く使えないわけでもない」
「でも、まだ先のことですね」

 今はまだ十夜のオカ研だ。オカ研の部長の権力は卒業まで続く。引退も同時だ。

「今からでもいい」
「え?」
「今から変えていけばいい。俺は構わない」

 それは彼自身もそうしたいと言っているようで紗綾は嬉しかった。
 少し十夜が前向きになってくれた気がするのだ。

「明日、圭斗君と先生にも相談してみます」
「誰も文句は言わないだろう」

 その言葉があれば、勇気が持てる。
 きっとオカ研は変われると確信する。
 けれども、十夜に言いたいことはそれだけではなかった。
< 688 / 712 >

この作品をシェア

pagetop