Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「あの、部長に聞きたいことがあるんですけど……」
「なんだ?」

 今ならば、彼は何でも答えてくれるだろうか。

「これ、どういう意味なんですか?」

 紗綾は十夜から貰ったネックレスを差し出す。

「……あまりだと言っただろう。意味はない」
「クラスの女の子が行ったら、完売だったって言ってました」

 貰った時の引っかかりの正体だった。打ち解けたことでクラスメイトが教えてくれたのだ。今年も完売で自分達が行った時には何も残っていなかったと。
 だから、十夜が言うことと矛盾する。

「うまくやっているのか?」
「ええ、最近は。この調子でもっと理解を広げていきたいと思ってるんです」
「貴様ならできる」
「……答え、聞いてません」

 はぐらかされた気がする。前ならば、それ以上聞いてはいけないのだと諦めたが、今日はそういうわけにはいかない。追及するつもりで勇気を振り絞ったのだ。
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