Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「……それは、貴様のだ」
「部員だったから、特別ですか? それとも、私を生贄にした負い目ですか?」
「そうではない」

 自分のために用意してくれたものだと、すぐには喜べない。
 彼の考えていることがわからない。どうしたらいいかわからない。

「……いなくなるな」
「わけわかんないです」

 答えを求めて、けれど、どうしてそんな回答になるのかがわからない。

「側にいろ」

 そう言われることは嬉しい。でも、それだけではない。

「部長はいつも言葉が足りないんです」

 彼はいつも肝心なことだけを言ってくれない。

「注文が多い」

 ついには十夜の口から文句が出た。

「部長のせいです!」
「俺にどうしろと?」
「……わかりません」

 そう言われても困るのだ。全ては彼のせいだ。彼がはっきり言ってくれれば自惚れなくて済む。
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