Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「つーか、センセーが泣かせたんじゃないっスか?」
「人聞きの悪いこと言わないでよ。大人の男泣かせてどうするのさ。将仁が勝手に泣いたんだよ」

 紗綾も実際、嵐が将仁を泣かせるに至ったのではないかと思っていた。
 だが、圭斗のように言ってしまっては後が恐い。

「まあ、彼女を蔑ろにするなんて、ひどいことした罰だよね」

 マリエのことだ。そういう関係ではないのだが、嵐はいつもそう言う。
 文化祭の時、二人は海斗の事が原因で喧嘩していたらしかった。マリエが拗ねていたのだ。
 マリエを事件に巻き込みたくないから将仁は海斗に縋ったが、マリエは将仁の力になりたかった。結局、二人は一人、一人だからこそ一緒にいなければいけないのだろう。
 彼女達の場合はそうだ。自分の場合は、どうだろうかと紗綾は考える。コミュニケーション能力に関してはそれほど変わりない。
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