Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「でも、嫌な思いって……」
「私が悪いの……ご迷惑おかけしました」
香澄の心配そうな眼差しさえ申し訳なく思いながら、紗綾はぺこりと頭を下げた。
心配される筋合いではない。全て自分が悪いのだから。
それなのに、将也はひどく優しい笑みを浮かべる。
「迷惑なんて思ってないよ。折角、士気が上がったのに、いいところで君が帰ってしまうから、少し黒羽の言葉を借りたくなったけどね」
「……ああ、女の子達追い払ったのってそういうことだったんですか」
納得したように香澄は言うが、その表情には陰りがあり、将也の表情からも笑みが消える。
「君、嫌なところだけは見逃してくれないんだね」
将也が溜め息を吐いて、紗綾は香澄を見たが、彼女は黙ったまま何も言わない。
「とにかく、僕はうちの部だけでも君の味方でありたいと思ってるんだ。だから、君に酷いことを言って、追いやるような子たちには見学してもらいたくない。空気が淀んでしまうからね」
「でも……」
確かに昨日は知らない女生徒達にひどいことを言われたが、そんなことは既に慣れているし、わかっていた。直接言われたわけでもない。
だから、やはり、迷惑だったのだと思いたくなってしまう。その淀んだ空気の根源は間違いなく自分なのだから。
「私が悪いの……ご迷惑おかけしました」
香澄の心配そうな眼差しさえ申し訳なく思いながら、紗綾はぺこりと頭を下げた。
心配される筋合いではない。全て自分が悪いのだから。
それなのに、将也はひどく優しい笑みを浮かべる。
「迷惑なんて思ってないよ。折角、士気が上がったのに、いいところで君が帰ってしまうから、少し黒羽の言葉を借りたくなったけどね」
「……ああ、女の子達追い払ったのってそういうことだったんですか」
納得したように香澄は言うが、その表情には陰りがあり、将也の表情からも笑みが消える。
「君、嫌なところだけは見逃してくれないんだね」
将也が溜め息を吐いて、紗綾は香澄を見たが、彼女は黙ったまま何も言わない。
「とにかく、僕はうちの部だけでも君の味方でありたいと思ってるんだ。だから、君に酷いことを言って、追いやるような子たちには見学してもらいたくない。空気が淀んでしまうからね」
「でも……」
確かに昨日は知らない女生徒達にひどいことを言われたが、そんなことは既に慣れているし、わかっていた。直接言われたわけでもない。
だから、やはり、迷惑だったのだと思いたくなってしまう。その淀んだ空気の根源は間違いなく自分なのだから。