Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
深呼吸をして、恐る恐るドアを開ければ、その瞬間に目が合ってしまった。
ぱっと表情を明るくして、駆け寄って来ようとする様は犬にも見える。
決して好ましいものではないのだが、紗綾は硬直するしかなかった。
そうしている間に距離は詰まり、紗綾は困惑する。いっそ逃げてしまいたかった。
しかし、その瞬間に鋭い声が響く。
「ハウス!」
嵐がビシッと部屋の隅に置かれた座布団を指さす。
すると、リアムはハッとしたように、さっとそこへ戻り、ピシッと正座をする。
そして、ソファーから立ち上がった嵐が紗綾を扉の外へと誘導した。
「あの、さっきの座布団って、まさか……」
嵐に導かれて辿り着いた非常階段で紗綾は先に切り出す。
聞きたいことは色々とあったが、何から問えばいいかわからなかった。
昨日まであんな座布団はなかったはずであり、一瞬だが、何か見覚えがある気がしていたのだ。
「うん、遺品だよ。日本文化研究同好会と称した抵抗勢力御一行様のね」
笑みを浮かべて言う嵐に紗綾は背筋に冷たいものを感じた。
リアムが入りたがっていた日本文化研究同好会を葬り去った張本人こそ、この九鬼嵐という男なのだ。
直接手を下したわけではないが、彼らがノイローゼになる原因を作り出せたのはこの男しかいない。なぜならば、彼が策士だからだ。
ぱっと表情を明るくして、駆け寄って来ようとする様は犬にも見える。
決して好ましいものではないのだが、紗綾は硬直するしかなかった。
そうしている間に距離は詰まり、紗綾は困惑する。いっそ逃げてしまいたかった。
しかし、その瞬間に鋭い声が響く。
「ハウス!」
嵐がビシッと部屋の隅に置かれた座布団を指さす。
すると、リアムはハッとしたように、さっとそこへ戻り、ピシッと正座をする。
そして、ソファーから立ち上がった嵐が紗綾を扉の外へと誘導した。
「あの、さっきの座布団って、まさか……」
嵐に導かれて辿り着いた非常階段で紗綾は先に切り出す。
聞きたいことは色々とあったが、何から問えばいいかわからなかった。
昨日まであんな座布団はなかったはずであり、一瞬だが、何か見覚えがある気がしていたのだ。
「うん、遺品だよ。日本文化研究同好会と称した抵抗勢力御一行様のね」
笑みを浮かべて言う嵐に紗綾は背筋に冷たいものを感じた。
リアムが入りたがっていた日本文化研究同好会を葬り去った張本人こそ、この九鬼嵐という男なのだ。
直接手を下したわけではないが、彼らがノイローゼになる原因を作り出せたのはこの男しかいない。なぜならば、彼が策士だからだ。