透明な君
ああ、僕は…
どんなに成長しても
社会にでたとしても
家庭をもったとしても
お爺さんになっても
いくつになっても
どんな時でも
父の前では幼い子供なんだ………。
嗚咽をこらえられなくて座りこんだ僕の隣に父が腰を下ろし
太い腕を伸ばし大きな手のひらで僕の頭をぐっと抱え
空のようにも
海のようにも広く感じさせるその胸に抱いてくれた。
わずかなカーテンの隙間から
オレンジ色の夕日が差し込んでいた。
…サツキを思い泣いた。