透明な君


ああ、僕は…

どんなに成長しても

社会にでたとしても

家庭をもったとしても

お爺さんになっても

いくつになっても

どんな時でも


父の前では幼い子供なんだ………。



嗚咽をこらえられなくて座りこんだ僕の隣に父が腰を下ろし

太い腕を伸ばし大きな手のひらで僕の頭をぐっと抱え

空のようにも
海のようにも広く感じさせるその胸に抱いてくれた。





わずかなカーテンの隙間から
オレンジ色の夕日が差し込んでいた。






…サツキを思い泣いた。



< 12 / 205 >

この作品をシェア

pagetop