透明な君
翌日 僕は制服を着て学校へ行く用意をする。
あの後父から
母さんも僕を心配してあまり寝ていなく
食事もしていないことを聞いた。
心配をかけてはいけない。
忙しく
朝の仕事をしている母のいる台所に行くと
父さんがいた。
僕がここに立っていることに気づいてるくせに知らんぷりしてる。
新聞に顔を埋めコーヒーを飲んでいる姿が
僕の顔を少し綻ばせた。
「おはよう。母さん昨日はごめんなさい」
目をつむり上半身を前に傾けた。
母さんが、持っていた皿を落とし盛大に粉砕した音でちらりと顔をあげると…。
ゆっくりと振り返った母の顔は
思わず目を細めてしまうようなあったかい泣き顔だった。
僕にがばっとかぶさり
制服を濡らした。
父さんが八の字眉の笑顔で皿を片付けていた。