透明な君
【ニ年A組】
僕とサツキの日々の中枢となっていた場所。
頭をよぎるたくさんの思い出に優しく鍵をかけ
目の前にある扉に集中する。
物音1つしない。
だれもいない。
わかっているのに、
深呼吸せざるをえなかった。
扉に手をかけようとしたところで
手のひらがぐっしょりぬれていることに
気がついた。
「焦る気持ち…か。」
ポツリと一言呟き、
乱暴に制服のズボンでぐいっと汗をぬぐった。
そして
勢いで一気に扉を横にひいた。